3月27日

10時起床。鼻をかんだ。碧い鼻水だった。なあ、S野くん、俺は風邪なのかい。喉は昨日ほど痛くはなかった。飯を喰い私服を着て12時前に家を出てTSに向かった。発表時刻の10分前に到着した。誰もいなかった。13時になった。職員二人がキャスターのついた安っぽい白いボードを運んできた。ボードには紙が貼られていた。「4」の文字があった。通っていた。縛られたと思った。人生のおおまかな方向が決まったと思った。数字は3つしか見当たらなかった。落ちたのはやはり私服だった奴だろうか。職員室とおぼしき部屋に通され、何度も顔を合わせた30代前半に見える若い職員(雑魚キャラ)から説明を受けた。明日までに必要な書類がいくつかあった。終わったあとA病院に健康診断の予約をとりつけた。すぐに受けさせてもらえるようだった。Tセンターを出て、母に一報を入れた。それから受かった事をツイッターに流し、A病院へ向かった。A駅を出ていくらか歩いた。どっちつかずの雨が降っていた。

A病院は思っていたよりはでかく、3階建ての建物だった。古いとも新しいとも言えない様相をした場所だった。働いている人間はみんな忙しそうだった。人があきらかに足りていなかった。待ち時間は長かった。患者は老人ばかりだった。死の香りと血の匂いがした。くせえな、と思った。年寄りが長くいる場所は、空気が重いし風通しが悪い。祖父母の家と同じ匂いだった。やけに生々しさやグロテスクな印象を感じるのは、死と、それに抗おうとする生の両者がわかりやすい形でそこに在るからだろう。身長体重視力聴力の測定と尿検査と肺のレントゲンを撮った。尿の事をお小水と何度も呼ぶ看護婦の姿が印象的だった。お小水。身長と血圧を計った女の対応がひどかった。訳の分からない事をマシンガンのように口早にぬかすので、はい?と強い口調で答えた。血圧も適当にさっさと測ってくれ、という感じでセルフでやらされた。一通り終わった後、最後に簡単な触診があった。肺もきれいだし問題ないですね、と禿げあがった頭の素敵な五六十代とおぼしき男の看護師に言われた。がっちりとした体格とヒゲを蓄えたその姿に俺のゲイセンサーが微かに反応した。書き込まれた診断書に目をやると身長176.1cmとあったので驚いた。やはり明らかに背が伸びている。会計を済ませ、T市役所にむかった。16時をまわっていた。住民票の写しなどの必要な書類を作成し、帰った。帰宅後は書類を確認したり書き込んだり飯を喰ったりして22時過ぎに寝た。